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田舎教師 「田山花袋」 [本 そして 時々映画? かな ???]

羽生市を訪れた理由は この本

田舎教師(明治42年[1909年]発表)
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小説の出だし

「四里の道は長かった
その間に青縞の市のたつ羽生の町があった
田圃にはげんげが咲き 豪家の垣からは八重桜が散りこぼれた
赤い蹴出を出した田舎の姐ねえさんがおりおり通った」

という事で 羽生の町が舞台の小説です

栃木県の足利市で呉服屋を営み 何不自由の無い暮らしをしていた林清三の家族
騙されて呉服屋を失い 埼玉県の熊谷市に移り住むものの
そこでも仕事に失敗し ほぼ無一文で 更に行田市へ夜逃げをする羽目に
貧困の為に進学できなかった清三は 好きな文学の道を諦め
小学校の代用教師として働く事になります
文学の道は諦めたものの 仲間と同人誌を出したりしていたのですが
仲間が進学などで離散していき 同人誌は廃刊
その上 思いを寄せていた女性が 親友と・・・
そんな事もあり 清三の生活は次第に荒れていきます
しかし 好きな文学や恋愛がうまく行かない自分を辛いと思う一方
段々と生活を立て直し 教師という仕事に やりがいを持つ様になりました
しかし その頃に結核に罹ります
再び家族と暮らす様になった清三ですが病状は悪化
日本が日清戦争の勝利に沸く中で
二十一年という短い生涯を終えてしまいます

(iДi)

田山花袋が義理の兄(寺の住職)から聞いた

小林秀三という実在の人物の日記を基に

明治期の羽生や行田 熊谷の風景や人々を 生き生きと描き出しています

そして 林清三(小林秀三)を中心に据えながら

訥々(とつとつ)と物語は進んで行くのですが
 
私 中盤からは思いもかけず 作品に感情移入してしまいました

文体が古くて若干読みにくいのですが

川端康成よりは 面白く読みやすいかな?と思います!


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「秋の末になると
いつも赤城おろしが吹きわたって 寺の裏の森は潮のように鳴った
その森のそばを足利まで連絡した東武鉄道の汽車が
朝に夕べにすさまじい響きを立てて通った」

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